映画サロン vol.82 「ブレードランナー2049」(長文・ネタバレ注意)

画像18歳の時に観た「ブレードランナー」の続編、「ブレードランナー2049」・・・観なければいけません。9月にDVD観て「ブレードランナー」を復習しておきました。

監督はカナダ人のドゥニ・ヴィルヌーブ 50歳。前作の監督、リドリー・スコットは製作総指揮ってことになってますが、監督はお前がやって、俺は適当に口出すから、それに合わせて作ってくれ・・・・ってな感じでしょうか。「エイリアン・コヴェナント」は、ちゃんと監督したのね。














画像9月にできたイオンモール松本の中にあるシネマコンプレックス、イオンシネマ松本で観ました。松本では3ヶ所めのシネマコンプレックス。24万人の地方都市で、周辺もそんなに大きな街はないところに、あきらかに過剰な映画施設。これまでの2ヶ所のシネマコンプレックスもなんとかやってる状態だったのに、このおかげで打撃を受けるのは、うちの会社の近くのアイシティシネマだろうな。

ただでさえ利用者少ないのに、さらに少なくなる。松本中心部の松本シネマライツの上映時間が合わなかったり、やってない映画を観る人が郊外のアイシティシネマに行ってたのが、さらに中心部にイオンシネマ松本ができたものだから、アイシティシネマは本当に厳しくなるだろうな。

イオンシネマ、なんと毎週月曜日が誰でも1100円になるのに加えて、55歳以上はいつでも1100円てのまである。2年ちょっとすれば、これは使えますね。一般、1800円ってのがやっぱ高いよね。そこまでしても観たいという映画が少なくなったというのも映画人口が少なくなった要因のひとつですが。




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そういうわけで、月曜日、仕事が終わった後のレイトショーで観ました。前日の日曜日は、狭いスクリーンでの上映でしたが、翌日の月曜日は、上映映画の入れ替えで「ブレードランナー2049」は広いスクリーンでの上映だったので、得した気分。20:30から23:25まで・・・・長編大作。

前日にど真ん中の席を予約し・・・というか、誰も他に予約してない。観る方はゆったり観られていいけど。運営大丈夫か?













画像当日、10人もいませんでした。まぁ月曜日のレイトショーですから。

さて、本題の映画の内容に移ってと。高校時代に映画同好会でいっしょだった、同級生のcocobravoさんも「ブレードランナー2049」の感想を書いていて、これを観る前に「ブレードランナー」からつながる短編3作を観ないと内容がわからない・・・と観た後に聞きまして。(涙)さっき短編3作を観ました。おかげで内容が少しつながりました。


「2022 The black out」


「2036:Nexus dawn」



「2048:Nowhere to run」

まずは、1982年の「ブレードランナー」では・・・タイレル社が作ったアンドロイド・・・レプリカントが感情を持つようになるってところでしょうか。この時はネクサス6で、安全装置として4年の寿命があったのですが・・・・タイレル博士の秘書として作られたレイチェルは特別仕様で、デッカードと逃亡した後、4年過ぎても生きている・・・・・となってました。

1982年上映当時は興行としてはあまりパッとせず、そりゃ誰が観ても派手でわかりやすい「スターウォーズ」と較べれば、エンターテイメントとしては失敗ですよ。一部のマニアに支持される以外は「ブレードランナー」はそんなにブレイクはしてなかったと思います。劇中で描かれた独特な「世界観」が、人々の記憶に残ってるくらいでしょうか。

オリジナルの「ブレードランナー」は時代設定が2019年。再来年です。ロサンゼルスはあと2年であのようにはならないですが・・・・・で、前述の3つの短編で、寿命が長くなったネクサス8が、レプリカントの情報を消去するために、ブラックアウトと呼ばれる大停電とデータ消去を起こし、2036年にウォレス社がタイレル社に代わってネクサス9なるレプリカントを開発する。

2048年にネクサス8のサッパーがロサンズルス市内で殺人事件を起こす・・・・「2048:Nowhere to run」・・・直訳すると、「逃げ場所はない」ですか。大男のサッパー、いいですね。好きです。農場で養殖している細長いドジョウのようなものの瓶詰めを売りに来て・・・・こういうものが貴重な栄養源として流通しているようです。ダウンタウンの少女アイラとその母親とは顔見知りで、その母娘が街のチンピラに絡まれたことから、勢い余って殴り殺してしまいます。拳にチェーンを巻いて殴る・・・・破壊力抜群です。それを見ていたアイラと母親は、怪物を見るような眼でサッパーに対して怯えます。それを見たサッパーは、改めてレプリカントである自分を自覚し、人混みに逃げる・・・・

「ブレードランナー2049」はここからの続きです。

ブレードランナー・・・・逃亡するレプリカントを抹殺する役割。主人公はK。彼もまたレプリカント。ウォレス社の農場で働くサッパーをつきとめ、処刑する。サッパーが泥水の農場で養殖していたのは・・・・・カブトムシの幼虫みたいでしたが。サッパーはこれを「protein」と言いましたから「たんぱく質」でしょうねぇ。

低音で「ブーーーーーーン」と鳴り響くシンセサイザー音のBGM。前作から引き継いでいます。暗くてジメジメした感じと合わせてブレードランナーの雰囲気を出してる感じです。

サッパーの住んでいた周辺を調べると、木の下に人骨が埋められており、それがかつてデッカードと逃亡したレプリカントのレイチェルであることが判明。しかも遺骨から帝王切開した際に死んだことがわかり、レプリカントが子供を産むことができるという事実に困惑する。感情も持ち、子供も産めるとなればレプリカントと人間の違いは一体何か?

レプリカントはもともと人間よりも力が強く、耐性があるということだったと思うが・・・・それで他の惑星での過酷な労働にも耐えられるという設定で、前作のレプリカント、ネクサス6が反乱を起こした・・・・でしたが、そのレプリカントたちもピストルで撃ったら死にますからね。無敵ではないです。

画像今回はさらにKの恋人というか、疑似恋愛プログラムというか・・・・・これもウォレス社の人工知能AIのジョイが登場。これが今回の映画の中での花ですね。可愛いです。この娘がいなければ3時間近い映画も途中で挫折したかもしれません。(笑)

残念ながら彼女はホログラムなんですね。ただ、受け応えは人工知能なので、本物の人間のように応える。Kは彼女に対して恋愛感情を抱き、プログラムである彼女もまたKに恋愛感情を抱く・・・・スタートレックの世界なら実体を持てるホログラム技術がありますが、この映画ではあくまでも触れられないホログラムです。この擬似彼女との葛藤も持ちながら、また遺骨が埋められてた木に刻まれていた「6.10.21」という数字・・・・・Kがこれを見た瞬間、自分の記憶にある木馬の脚の裏に刻まれた同じ数字と同じであることに疑惑を抱きます。

「俺の誕生日だ・・・」

レイチェルが産んだという子供は、自分じゃないか・・・・Kは最新型のレプリカントですが、彼の記憶から推測すると、子供のレプリカントが成長し、大人になるという・・・・変化があるようです。時間が経っても加齢しないとレプリカントであるとわかってしまうからでしょう。ここまでくると、そこまでして人間に近づけて作るレプリカントに何の意味があるのか・・・わからないですね。しかもどういう技術でしょうねぇ。もっとすごいものが作れそうです。

Kは、上司からその子供を探し出し、殺すよう命令されます。レプリカントが子供を産むことができると世間に知られた場合の混乱を防ぐためです。ウォレス社のウォレスは部下のレプリカント、ラブを使い、その出産の技術を得るためにKを利用し子供を探させます。老人施設にいた男・・・・前作に出て来たデッカードの同僚のガフ。以前はユニコーンの折り紙を作りましたが、今回は羊の折り紙を折る。電気羊の夢を見る・・・・からか。

手がかりを探すK。自分の記憶の中にある木馬。子供の頃に孤児院のそばの廃工場に隠した木馬を見つけ、やはり自分がレイチェルから生まれた子供であることを確信します。孤児院には大勢の子供のレプリカントがおり、ある男に育てられていた。記憶デザイナーのアナ博士・・・免疫がないからクリーンルームから出られないと言っていた。彼女はKの記憶を調べ、これは実際にあった記憶だと告げる。

この出来事からKは精神的に不安定となり、精神テストにひっかかりブレードランナーとして停職処分に。ウォレスの放ったマリエッテと夜を過ごし・・・・ジョイとの融合で結合。(笑)木馬を調べると、放射線からラスベガスが浮上し、デッカードがそこに潜伏していることがわかる。

まぁ・・・・ここまでの話が長くて・・・・つまらない。ようやくデッカードが登場。もう、じいさんですよ・・・・・ハリソン・フォード。なんかわからんけど、デッカードと殴り合いになるK。一方的に殴られて・・・・捕まえに来たんじゃないことがわかり・・・・Kはレイチェルの子供のことを質問し、自分の子供を守るために記録を抹消し、孤児院に送ったことがわかった。

ラブとウォレスの登場。デッカードの居場所がわかり、デッカードは捉えられてしまう。Kはレプリカント解放軍に救出される。が、レイチェルの子供は女である事実を知らされる。自分の記憶は偽物の記憶であったことがここで判明。自分は特別ではないただのレプリカントであるという絶望に唖然となる。

ウォレスから協力を要請されるデッカード。実は自分はもともとレイチェルと子供を産むために作られたレプリカントであるらしい事実を聞かされる。すべて亡きタイレル博士によって仕組まれたことであった。

囚われのデッカードを救出するK。ラブとの戦いの末、彼女を殺し・・・・・デッカードをアナ博士の研究施設へ連れていく。アナ博士がレイチェルとデッカードの本当の子供であった・・・・研究施設の外では雪が降り・・・・ラブとの戦いで深手を負ったKは仰向けに横たわり、意識がなくなっていった・・・・

まぁ、なんとも・・・・・こうやって書くと、結局それだけだった・・・・Kの意味は何もなかった・・・・なんとも虚しい結末。賛否両論ある本作品ですが・・・・私個人的にも後で途中をつなぐ短編3作品を観てもあまりいいとは思わないなぁ。
総合評価は60点かなぁ。3時間近いほとんどが、なんか単調な進行で・・・・退屈。予習も復習もしないと理解できないってのは映画としてどうなんだろうと思う。それを理解できないのは観ている本人の理解不足と言うのは簡単だけど・・・・・映画ってそういうもんじゃないよなぁ。

「エイリアン・コヴェナント」もそうだったけど、過去の作品の続編とか、前物語とか・・・・安易に作りすぎ。オリジナルを超えられないのがほとんどで、かえってオリジナルを台無しにしかねない。

ということで、ハリウッドにももうちょっと頑張ってもらって、オリジナルの面白い映画を作ってもらいましょう。

画像久々に3時間近い映画で・・・・終わったら駐車場に停まってる車は私ぐらいで・・・・・夜中の12時前だもん。駐車場は映画を見た人は2時間+3時間無料なので・・・・大丈夫ですけどね。

次は・・・来月のスター・ウォーズですか?あれも期待できないですよねぇ・・・・

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