映画サロン vol.76 「パッセンジャー」 (ネタバレ・長文注意)

画像少し前に笑笑ちゃんに

「今度、いっしょに映画見に行こうか?」

 「いくいく~!」

「何見ようか?わかりやすいとこで、キングコングかなぁ」

「うん、それがいい」

で、キングコングを見に行くつもりだったのですが、カップルで見るなら宇宙船で二人きりってシチュエーションの「パッセンジャー」じゃないかと・・・一応、笑笑ちゃんに相談したら

「パッセンジャーの方がいい!」

ってことで、キングコングは却下。パッセンジャーのチケットをネットで予約しました。今は席まで指定できるから、便利ですね。私が予約するときは誰も席を取ってないので、ど真ん中の見やすい席を取りました。前もって午前中に発券機で発券だけしておこうと映画館に来てみたら、こんな状態。

な、なんだ?・・・・そうか、今はこどもたちが春休みなんだ。身近に学校に通う子供がいないものですから、すっかり忘れていました。

画像今、上映してる映画がこれだもの・・・・・子供相手のが半分、キングコングも入れれば、8つのうちの5つは子供向け・・・ってことでしょうかねぇ。

まぁ、しかし親も含めて来てくれるなら、子供向けの映画の興業収入の方が上げやすいのかもしれませんねぇ。最近、私が見る映画は、封切りから数日でも10人か20人くらいしか入ってないですからね。

子供向けの映画も・・・テレビでやってる番組の特別版って感じの映画が多くなった。テレビ番組の中でCM流しやすいし、子供に直接訴えられるから・・・そういうのでいいのか?日本の映画業界。















画像さて・・・ポップコーンとコーラを買って・・・・「パッセンジャー」・・・この日はなんと、吹き替え版しかない。私ひとりなら絶対、字幕版なんですが・・・・笑笑ちゃんは吹き替え版の方がいいそうで。よかった。今は字幕版よりも吹き替え版の方が優先なんですね。


















画像
「私はこれ食べたいー!ディズニーランドのみたい!」

で、笑笑ちゃんはチュリトス・・・・チュロスじゃないのか?

あらすじは・・・・・宇宙を航行する巨大な宇宙船アヴァロン号。細長い本体のまわりをらせん状の居住区が回転する形状。宇宙を漂うデブリから宇宙船を守るために、全体を目に見えないシールドで保護しています。

スタートレックヲタの私からすれば、今回のパッセンジャー・・・・いろいろアラがあって、チョロイ内容の気がします。

タイトルの「パッセンジャー」・・・・乗客?乗員?助手? アヴァロン号は、ホームステッド社が営業する民間移民宇宙船。120年かけて航行し、居住できる惑星、ホームステッド2コロニーへ向かっている。乗務員258人、乗客は5000人。全員が人工冬眠中で、自動航行で運行中。そもそもこのシチュエーションが宇宙船の設定としてありえない。無人の宇宙船が120年も誰の監視もなく運行するなんてありえない。

人工冬眠カプセルが故障したことはないから、大丈夫・・・・・なんの根拠もないですね。地球を出発して30年。アヴァロン号の前方に小惑星らしき物体。これに衝突します。シールドで破壊はするものの、宇宙船はダメージを受けてしまいます。この原因でひとつの人工冬眠カプセルが誤動作。ジムが目覚めてしまいます。

本来の予定では120年後に到着する4ヶ月前に覚醒する予定が、到着まではまだ90年もあります。巨大な宇宙船で活動しているのはジムひとり。宇宙船のすべてがコンピューター管理されており、どうすることもできません。プログラムにより、通常の生活はできるようにはなっています。

機械系のエンジニア・・・・私のようですが・・・・・自分の持てる知識で、なんとかしようとしますが、人工冬眠に戻ることはできず、地球に通信を送ることもできず・・・・この宇宙船、どうやって航行してる?120年航行・・・・ワープ航行ではないようで・・・・光速でもないみたいだし・・・・地球に通信が15年で返信が来るまで55年かかる。ありえない・・・・そんなリスク満載の宇宙船航行スケジュールないでしょう。

宇宙船が出発して30年、技術は何も発達していないのか?この宇宙船を追い抜く速度で航行できる宇宙船や通信ができるようになってるはずである。まぁ、この宇宙船を運営しているのは一民間企業であるから、その会社が存続しているかどうかもわかりませんが・・・


ブリッジ含め入れる場所もジムのIDでは制限されています。
唯一の話し相手は、バーにいるバーテンダーアンドロイドのアーサー。彼からいろんな情報を得ようと努力するも・・・・アーサーから得られる情報は、しれていました。

来る日も来る日もひとりで・・・・ジムは宇宙船の中でいろんなことをして時間をつぶし、生活しますが・・・・このままひとりで宇宙船の中で寿命を迎える危機感を感じ始めます。

1年経ったある日。人工冬眠カプセルに眠るひとりの女性に惹かれます。このままひとりで死ぬくらいなら・・・・一時は自殺も考えましたが、思いとどまり・・・・この女性、オーロラを冬眠から目覚めさせるかどうかで苦悩します。が、ジムは孤独に耐えきれず、オーロラを覚醒させてしまいます。それは彼女も目的地にたどり着けず、道連れにしたも同然の行為でした。

最初は彼女も困惑しますが・・・やがて彼女も状況を受け入れ、ジムと恋人同士の関係に発展します。ジャーナリストで、120年人工冬眠して、1年だけホームステッド2に滞在して、また120年人工冬眠して地球に帰って、本を出すのが彼女の夢でした。「そんな経験をした人は私だけ」きっと地球では有名になる。でもそれもできなくなった・・・・彼女の残念そうな顔を見て、ジムは自責の念にかられます。自分が人工冬眠から目覚めさせた・・・・彼女には言えない秘密ができてしまいました。

ここも問題かなぁ・・・人工冬眠から目覚めさせることができるなら・・・・誰かクルーを探せばよかったんじゃないか。一緒に人生を全うする伴侶ではなくて・・・・もしかしたら、宇宙船の問題を解決してくれて、人工冬眠できる方法もあるかもしれないし。それにしてもジム役のクリス・プラットはイケメン。オーロラ役のジェニファー・ローレンスは美人・・・ちょっと目がキツい感じですが・・・・あ、私は好きですが・・・・ブロンドで、スタイル抜群、胸も大きくて・・・・CMで服をバッと脱いで水着姿でプールに飛び込む・・・・・あのシーンで、スケベな男たちは「見に行こう!」って思うでしょうねぇ。(笑)サービスショットです。3回ぐらいだったかなぁ・・・・彼女が水着のシーンは出てきますので・・・・あ、短いですがベッドシーンもあります。見ている人はこの二人にお互い感情移入して、疑似恋愛的な雰囲気を感じることでしょう。

恋人同士となったジムとオーロラ。ジムは彼女にエンゲージリングをプレゼントしようというシチュエーションになり、バーテンダーアンドロイドのアーサーに「もう彼女との秘密はなくなった」と言ってしまいます。その一言で、口止めされていた「オーロラを人工冬眠から起こしたのはジムである」ことをオーロラに話してしまいます。

オーロラ、激怒。「気持ち悪い!」と言う心理は理解できます。たぶん、女子はこう言いますね。

「愛と憎しみは紙一重」・・・・私の座右の銘?ですが・・・・まぁオーロラがキレますね。キツそうな顔、そのものの性格で・・・・怖いです。部屋で寝ているジムのところに来て殴る蹴る、最後にはバールで叩き殺そうとします。「私の人生を取り上げた。許せない!」そんな関係になりながらも、宇宙船には二人だけ。生活は続けるしかないのです。

そこへ・・・・もうひとり、人工冬眠から目覚める人物の登場。モーフィアス!(マトリックスに出てたモーフィアスね。吹き替えは玄田さん。)と思わず言ってしまう。(笑)CSIのラングストン教授でもいいけど。ローレンス・フィッシュバーン・・・・宇宙船のクルー、デッキチーフだったかのガスが加わります。彼のおかげで今までは入れなかったブリッジや、アクセス制限のあった情報も得られるようになりました。

どうして3人が人工冬眠から目覚めたのか・・・・ガスが調べた結果、ジムとガスはカプセルの不具合で目覚めたが、オーロラはジムが目覚めさせたことはわかりました。

「許されることではない・・・」

ガスはオーロラに対してもそう言ったが、それ以上の事は言わなかった。90年後でないと惑星には着かない。人工冬眠はもうできない。宇宙船の中で一生を全うするしかない。ガスはそれを悟っていたのかもしれない。

そんな中、宇宙船の中ではシステムトラブルが次々と出はじめた。重力制御が不安定になり、プールで泳いでいたオーロラは危うく溺れそうになった。宇宙船のどこかに問題があるらしい。このままでは順調に航行することもできずに、自分たちも含めて人工冬眠している5000人と乗組員258人・・・・が全員死ぬことになる。原因を突き止めなければ・・・・というところでガスが体調不良で倒れる。人工冬眠カプセルの不具合のせいで、体の複数に支障をきたし「二人で協力して問題を解決しろ」という言葉を残し、亡くなってしまう。

心強い仲間が増えたと思ったが、またふたりきりとなってしまった。宇宙船の問題は、動力源の核融合炉。ジムが目覚めた時の要因である小惑星との衝突。この一部が核融合炉を破損していたのだった。いやいや・・・・突っ込みどころ満載。核融合炉は耐熱ガラスなんかで仕切らない。ガラスにヒビ・・・そんなところに使わないでしょ。放射能が充満している。少なくとも小惑星との衝突から2年は経ってる。動力部の異常でシステムはおかしくならない。しかも5000以上あるポッドの中のひとつだけおかしくなることはない。核融合炉が溶鉱炉みたいな炎になってる。「熱を逃せばいいんだ」・・・・そんな簡単な解決方法はない。排気口を解放するスイッチというかインターフェイスが排気口の中・・・・ありえない。普通は外にある。核融合炉の解放が手動のレバー・・・・なんでスイッチじゃないの?しかもなぜか熱で熱い?耐熱シールドと通常の宇宙服で、核融合炉からの放出熱に耐えられる・・・・もうめちゃくちゃ。一瞬で蒸発のはず。

こんな感じで120年も人工冬眠させて、別の恒星系に行こうとしている技術を持ってるはずなのに、こんなおそまつなリスクマネジメントだらけの宇宙船であるわけがない・・・・そもそも閉ざされた宇宙船スペクタクルを作るためのネタでしかない・・・ということに気づいて・・・しらけてしまった。閉ざされた空間を舞台にしたスペクタクル映画・・・・・潜水艦映画とかも同様ですが、最後に何か残されたカギがひとつだけあって、そこから脱出できるってやつ。あれですね。

奇跡的に熱を放出して、壊れた基盤を交換して再起動したら宇宙船は正常に戻りました・・・・・うそだろ?(笑)

他にも・・・・途中、どこかの恒星に接近してスイングバイしてたけど・・・惑星ならまだしも恒星にそんなに近づいたら、重力に引き込まれて燃え尽きてると思います。フレア見てジムとオーロラは笑ってましたが・・・・その熱を遮断できるシールドだったら、小惑星ぐらいはじきとばせてます。さらにいえば・・・・接近する小惑星は、もっと長距離の時点で回避できてるはずです。そもそもここに大きな矛盾がありましたね。あぁ、もう本当に三流SF。

一応、結末は書きませんが・・・・・まぁ、こんな風にあら探しする映画ではないので、深く考えずに楽しんでください。普通の人には面白いと思います。笑笑ちゃんも面白かった・・・・と言ってましたので。そのあとで、二人でジムとオーロラのことをいろいろ話しました。結局、あの二人には選択肢が他になかったので・・・・そうなっただけで、他に男も女もいればちがっただろうと。そういう結論に達しました。(笑)

総合評価は55点。私にとっては矛盾だらけでさっぱりだったので・・・・・すみません。これ、笑笑ちゃんと二人で見たからまだ許すけど、一人で見てたらあまりの内容で怒ってましたね。

せめてもの救いはオーロラ役のジェニファー・ローレンスが・・・スタイル抜群で、激しいんで・・・・そこだけです。

以上!


追伸

もしも私がスタートレック的な結末を考えるとしたら・・・・やっぱり地球を出発して30年経ってるので、25年後に光速航行ができる技術が確立して、最新のアヴァロン2号が2年でアヴァロン号に追いついた。ホームステッド2までは6年で到着できる。既存のアヴァロン号とアヴァロン2号を合体させて、そのまま航行。予定よりも84年早く目的地に着いて、帰りも8年で地球に帰れる・・・・またその頃には技術革新して、ワープ航行できるようになって、数ヶ月で行き来できるようになる・・・・途中にディープスペース9みたいな宇宙ステーションができて、他の惑星に住む異星人と交流してる・・・・って、エンタープライズがでてきて、この物語はスタートレックのスピンオフでした・・・・でもいいけど。それだったら最初のトラブルで宇宙船が救難信号を自動発信して、エンタープライズが助けに来るか。それじゃこの映画が成り立たないね。(笑)

いやいや、スタートレックなら・・・たどり着いた惑星ホームステッド2にはすでに原住異星人と、原住生物がいて・・・よその星から来た地球人が侵略者扱いされて・・・実際侵略者ですけど。勝手に住む事は認めんって言われて、原住異星人と地球人の間で争いが起こる・・・・そこへ巨大な原住生物が出て来て、そいつをやっつけるために両者が協力して、お互いに信頼感が生まれて、共存できるようになる・・・・って感じですか。

改めて考えても片道120年かかるところにある地球人が住める惑星を誰が発見したかってことですね。行ったこともない惑星に地球人が移住できるって誰が調査したの?望遠鏡で観測できたか?少なくともアヴァロン号を製造する時にはその確証がなければ、そもそもこの移住計画はないわけで、その当時の技術でも往復240年かかるわけだから・・・・やっぱりおかしいよね。

もっと現実的なことを考えると、その惑星に着いたとして、何もない自然の惑星でどうやって生活をするのか?宇宙船を居住区として、そこから街を作っていくのか?誰が?食料はどうやって調達する?宇宙船はたしか4ヶ月の生活分しかなかったから人工冬眠してたのだと思う。スタートレックみたいにレプリケーターがあるわけでもなさそうだったから。あれ?床を這い回るお掃除ロボットが一応、レプリケーターの一部?だったかもしれない?

オーロラは帰りの宇宙船に1年後に乗って・・・って行ってたけど、帰りのための補給はできるのか?アヴァロン号は往復分の燃料と食料を積んでたのか?衛星軌道上から地上へはどうやって降りるんだ?宇宙船では降りられないぞ?あぁ、もう考えれば考えるほど矛盾が生じてしまう・・・・・考えちゃいかんですね。(笑)だからスタートレックのようにワープ航行と転送技術、物質を分解、再生成して作れるレプリケーターがなければ、別の惑星には行けないんですよね。

ちなみに最近、地球と同じ大気を持つ惑星が発見されました。惑星グリーゼ (Gliese 832c)です。

http://gigazine.net/news/20140630-gliese832c/

画像つる座に存在する恒星系の惑星で、地球の5.4倍の質量。公転周期は35日。行ってみたいですね。・・・・・近いですよ。たった16.1光年です。(笑)光速で16年。しかし・・・現在の技術では光速は出せないので・・・太陽探査船の出した秒速70.22kmが最高速度です。光速は秒速30万kmですから、その0.00023%の速度。だから・・・・片道6万9000年はかかりますね。ははは、今の技術じゃ宇宙船すら作れないのに、無理無理。120年どころじゃない。人類の無力さを思い知りますね。あ、もしかしたらこの惑星グリーゼが惑星ホームステッド2で、ここへ片道120年で行けるようになるってことか。(笑)

たった16.1光年ですらこんな状態なのに・・・・イスカンダルの14万8000光年はすごいよなぁ。やっぱりワープ航行技術を確立しないと他の星系には行けないですね。100年後ぐらいにはもしかしたら行ける技術が確立してるかもね。

この記事へのコメント

2017年03月28日 09:20
何が面白いって・・・「3流SF」「腹が立つ」と言いながら、こんなにしっかり書いちゃって、しかも改善プレゼンまでしてること!
 あたいはただで映画を観た気分です。
けいつ~
2017年03月28日 22:51
>Nyantaさん
ありがとうございます。どうにも黙っていられなかったわけで・・・・
しかし、この映画のテーマは、閉ざされた空間の中に取り残された男女の愛だったわけで・・・SFはおまけだったのですね。宇宙版タイタニックって言ってますが、それほどじゃないと思うけどなぁ・・・
櫻弁当
2017年03月29日 03:15
荒唐無稽にしてもある程度の理屈が成り立ってないと・・・ということですか。(笑)
しかし、ジェニファー・ローレンス、さすが役者ですね。ハンガーゲームとは違った感じです。
けいつ~
2017年03月29日 07:00
>櫻弁当さん
すみません。USにはスタートレックファンがたくさんいると思いますが、きっとその人たちも私と同じ視点になっちゃうんじゃないかと思います。この映画はそういうところを見るのではなくて、人間ドラマ・・・ということです。
ハンガーゲーム・・・見てないんで、今度見てみます。
櫻弁当
2017年03月29日 07:05
ハンガーゲームもばかばかしく荒唐無稽です。ジェニファー・ローレンスのカッコ良さを見せるための話みたいです。(笑)
けいつ~
2017年03月29日 20:38
>櫻弁当さん
あら、そうでしたか。最近はハズレの映画が多いような気がする。
2017年05月08日 13:25
映画観なくても、デート出来なくても、十分堪能致しました。ありがとうございます(笑)(*≧∀≦*)
けいつ~
2017年05月08日 21:14
>うきさん
楽しんでいただけたようで何よりです。
機会があればDVDか何かで見てくださいね。映画館で見てもいいですよ。

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