映画サロン voi.71 「君の名は。」 【ネタバレ注意!】

画像世間でちょっとブームの「君の名は。」 8/26封切りで、シン・ゴジラを上回る観客動員数だとか。62年前の佐田啓二(中井喜一のお父さん)と岸恵子の「君の名は」ではない。(笑)

「はぁ?なんだ?」

と思いつつ・・・メカもモビルスーツも出て来ないアニメは気が進まないなぁ・・・・まぁ、でも息子のけんけんも「面白かった」っぽいインスタをアップしてたから、一応、チェックするか。通常料金、一般1800円のところ、メンズデー1,100円の一昨日、見に行きました。レイトショー(1300円)で安かったというのもあって、男だけじゃなく女子もわんさかと・・・・やっぱ、映画1800円は高いよなぁ。期待外れの映画だと腹たってくるもんね。1100円ならそのリスクも覚悟できる金額かと。

いやいや、それにしても割引の日、時間帯でもこんなに座席が埋まってる映画を見るのはいつぶりかなぁと。ちょっとびっくりしました。時間が夜9時前ぐらいからだったので、高校生以下はほとんどいなく、20代~30代ぐらいの男女、およびカップルってとこか。私のような50代は少数派・・・・・当たり前か。


ここから先はネタバレです。これ読んじゃうと映画を見る楽しみが確実に無くなりますので、見ようと思ってる人はここでやめてくださいね。













湖のある田舎に住む女子高生、みつは。東京に住む男子高生の瀧(あれ?女子高生とは言うけど、男子高生ってあまり聞き馴染みがない)この二人が寝て、起きると身体が入れ替わってる・・・・あぁ、なんだ、「転校生」かよ・・・・と思って、正直がっかりした。

で、まぁしばらくは、お互いの生活の違い、男女の違いを戸惑いながらも、楽しみながら・・・・瀧がみつはの身体に入れ替わって、朝起きてのモミモミは・・・・・まぁ、ご愛嬌って事で。四葉に「お姉ちゃん、今日も胸もんどる」って、なんかヘンなのを気付かれてるし。

ここからしばらくは・・・・正直、つまらなかったです。身体が入れ替わったお互いは「転校生」同様、大体予想がつくんで。ただね、冒頭のシーンから絵がキレイなのね。これは素晴らしい。新海作品、今までに見てないですけど・・・・・風景に、日常の細かい描写、カット、動画・・・・キャラの表情に音。どれも秀逸してる。日本のアニメもこういう域に達したんだなぁ。いろんな扉が閉まるカット。大アップのしきいの上から見上げる視点で、閉まる扉にはさまれる・・・・・おもしろい。

まぁ、多くのカットは3DCGを使ってリアルに表現してるんだとは思うけど・・・風景ももしかしたら写真をアニメ画に加工したのかもしれないってぐらいリアルで。ここは評価できる。

瀧とみつは。お互いの携帯に入れ替わった日のことを残しあって・・・・携帯が通じない・・・・ここでなんかおかしいと気付けばよかったけど。まぁ、そのおかげで、イマドキの交換日記みたいになって・・・ほんわかした雰囲気。キライじゃないですけど。

みつはの女子力を生かして、バイト先の奥寺先輩・・・・いいですねぇ。私も好きですこういうタイプ。その奥寺先輩とのデートを「みつは瀧」がとりつけて、本当はみつはがデートしたかったようですが・・・・・デート当日に起きたのは、オリジナル瀧。思いもよらない突然の奥寺先輩とのデートに面食らって・・・・うまくいかず。奥寺先輩も「みつは瀧」とは違うオリジナル瀧に「あなたは前は私の事はちょっと好きだったけど、今は他に気になる娘がいるようね」(こんな感じのセリフだったと思う。ちょっと違うかも)と、見透かされて・・・・・気がつくと瀧はみつはのことを好きになりはじめたようだった。あ~、甘いねぇ。

そのデートのことをみつはに報告しようと思ったのに・・・・それ以来、ぱったりと入れ替わりがなくなった。

なんでだ?・・・・気になった瀧は、記憶の中の風景を頼りに、みつはに会いに行く事を決心した。奥寺先輩とあと友達の司と3人で。新幹線と在来線で飛騨に。山が多いところだと思ったら・・・・松本の山の向こう側だった。飛騨に湖があったかなぁ。

偶然入ったラーメン屋さんで、瀧が書いた風景の場所は「糸守」という場所だと聞かされる。奥寺先輩と司はその地名を聞いてすぐにピンときたようだけど・・・・気付かない瀧がおじさんに案内されて訪れた「糸守」は・・・・・

湖の隣に大きなクレーターのある廃墟だった。

ここが衝撃のシーン。複数のシーンで、みつはと瀧の入れ替わりが、同時進行だと思い込まされていて・・・・ここでガツンと「実は時間軸が3年ズレていました」ときたもんだ。糸守は彗星から分裂した隕石が直撃して、村ごと500人の死者を出す災害にあった場所だった。

入れ替わりがなくなったのは・・・・みつはが死んでしまったから。こりゃいかんなぁ。・・・・・・入れ替わりだけならまだしも、タイムパラドックスまで追加しちゃあ・・・・・もうね、この段階でダメだと思ったね。こういうエピソードは、スタートレックで散々経験してるからね。ドラえもんでも、バック・トゥ・ザ・フューチャーでも同じですけど、タイムトリップができるってことは、もうなんでもできるんですよ。死んだ人間も生き返させることもできるし、地球が滅亡しても元通りにできる。

だから、きっとみつはは生き返るな・・・・じゃないと物語は不完全燃焼だし。・・・・さて、死んだ人間とどうやって入れ替わるか・・・・・みつはがお祭りの時に作った口噛み酒を瀧が飲んで・・・・倒れたら隕石が落ちて死ぬ前のみつはに入れ替わった。・・・・これは都合よすぎだよなぁ。

隕石が落ちる1日前。みつはは東京に住む瀧に会いに行っていた。しかし、みつはに会う3年前の瀧は、みつはを知らない。知らないながらも気になった瀧は、みつはから組紐を渡される。その組紐を3年前にみつはから渡されていたことを忘れていたのだ。この組紐も3年前のみつはと現在の瀧を結びつけるアイテムとなったってことね。真田紐みたいな組紐は途中、おばあちゃん一葉から教わった「組紐は、ねじれてからまって、時には戻って・・・時間と同じ」みたいな伏線があったような。人と人を結ぶ赤い糸みたいに赤い組紐だったし。

入れ替わった瀧みつはは、友達のてっしーとさやかに隕石が落ちて全員死ぬことを打ち明け、協力し、村の人たちを避難させようとしたが・・・・うまくいかず。

再び口噛み酒を奉納した神社のご神体のある場所へと行って・・・・そこは一種のパワースポット。不思議な現象が起こる聖地。黄昏時・・・・カタワレドキ・・・・昼でも夜でもない時間に時空を超えた瀧みつはと、みつは瀧が対面することができたのだった。ここもねぇ・・・ちょとねぇ。3年の時空を超えて実体が触れ合うことができるか・・・・まさにスタートレック。スタートレックは科学技術をこなして実現しますからね。そこがちょっと違う。ちなみにスタートレックなら、彗星が地球に最接近した時の分裂を予測して、光子魚雷を撃ち込んで、彗星の軌道を変えてると思いますけどね。それじゃ物語にならないか。(笑)

お互いを忘れないように、手に名前を書いておこう。マジックで瀧がみつはの手に、みつはが瀧の手に名前を書こうとした所で、時空のつながりが途切れ、瀧は瀧に、みつははみつはに戻ってしまった。元に戻ると・・・・・瀧の名前の記憶が消えていく・・・・誰だっけ?みつはの手には瀧が書いた「スキダ」の文字。名前じゃないじゃん。(笑)

村人避難作戦は・・・・・失敗に終わりそうな勢いで・・・・このままじゃ全員死んでしまう。瀧から引き継いだみつはが再びてっしーとさやかと避難作戦を再開する・・・・隕石が落ちるまで間に合わないのか・・・・

ところで、現代の瀧。みつはと同じように、元の身体に戻ると、みつはの名前が記憶から消えていく。彗星から分離した隕石が落ちた糸守。湖とクレーターの風景は同じだが、奇跡的に村の人たちは避難訓練をしていた・・・・ということで、全員無事だった・・・・という歴史に変わっていた。みつは達の救出作戦は成功していたのだ。が、瀧にはその記憶すらなくなっている。

それから5年?就職活動している大学生の瀧。入れ替わりの記憶も薄れて・・・・もちろん、みつはの記憶もない。何かを探してるという漠然とした感覚があるけど、それがなんだかわからない。久しぶりに会った奥寺先輩の左手薬指には婚約指輪?「あなたもいつかはちゃんと幸せになりなさい」・・・・・

満員電車の中の瀧・・・・並行して走る山手線と中央線かな。たしかに並走してだんだん近寄ってくるポイントがあったような。その向こうの電車に乗ってるのが、東京に出てきたみつはだった。お互いに何かを気づいて、次の駅で降りて・・・・・四谷ですか?再開するも・・・二人ともに名前がわからない。それで・・・・「君の名は?」でエンディング。ハッピーエンドですなぁ。

まぁ、これを感動的といえば感動的だけど・・・・ねぇ?シナリオ的には最初の方で書いたけど、入れ替わりとタイムパラドックスを使ったんで・・・・ダメだなぁと。人それぞれの受け止め方はあると思いますが、私的にはおとぎ話みたいに思えました。でも本当に風景やカット、映像は綺麗で音の使い方もいい。間違いなく日本のアニメの最先端をいってるとは思えるので、見る価値はあると思います。

それと相殺して、総合評価は75点。お金を払って見て、まぁ後悔はしない映画です。どう感じるかはその人次第。

こんな風に書いていますが、もう一回、結末を知った上で見てみたい気はします。いろいろ気づかなかったところがありそうなので・・・・それにしても、昭和30年も映画で競った「君の名は」と「ゴジラ」の第1作。62年後に再び「君の名は。」と「シン・ゴジラ」が競うとは・・・・・なんの因果かな。

この記事へのコメント

ClieistD
2016年09月23日 22:00
次男坊と公開二日目に観に行きました。確かに前半は間延びしてましたが、後半はグイグイ引き込まれてしまいました。
ラストシーンで、ウルウルしたのは久しぶらでした。
子供の感想は、「まあまあ」だそうです。

個人的に、良い映画だと思います。
けいつ~
2016年09月24日 06:55
>ClieistDさん
おぉ、公開2日目に行かれましたか。入れ替わりが起こらなくなったあたりからは「なんでだ?」って感じになりますね。息子さんの感想が「まぁまぁ」ってのが意外にクールですね。受け止め方は人それぞれです。(笑)
2016年09月30日 08:32
よそさまのブログでも、この映画は話題ほどにオモロナイ的なことを書いておられるお方いましたわ。次男は、そのうちテレビで放送されることを待ってるようです(笑)
けいつ~
2016年10月01日 04:54
>うきさん
いや、まぁ、半々でしょう。感じ方は人それぞれです。あまりにネットで反響がいいんで、見ておくかなぁって感じで見ました。たしかに人は多かったです。DVDレンタルじゃなくて、テレビ放送まで待ってもいいですよ。(笑)

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