映画サロン vol.70 「シン・ゴジラ」(長文・ネタバレ注意)

庵野監督が「作るなら一番最初のゴジラしかない」と言っていた・・・・というぐらいしか事前情報もなく、先入観無しの状態で見ました。
午後3時。一応平日ですが、うちの会社は夏季休暇だったので・・・・・開演の30分前に行って、12番って・・・・座席は自由なんで、ど真ん中の席をゲットしました。7/29封切り後、10日ぐらいでこんなもんすか。興行収入厳しいじゃないですか?
私の前の列にいた、私よりも10歳ぐらい年上の夫婦の会話。奥さんが
「見たかったんでしょ?これ?」
「うん」
親子の会話かい?まぁ、ゴジラは、私が小学生の頃に全盛でしたから、毎年夏と冬に新作出てたんじゃなかったっけ?東宝がゴジラ。大映がガメラ。日活がガッパ。東映は仮面ライダーとかキカイダーとか・・・東映マンガまつりだったかな。懐かしいですね。ゴジラは私よりも10歳ぐらい年上の世代がファースト世代だと思います。私はキングギドラやヘドラ、メガロ、ジェットジャガー、メカゴジラの世代です。

冒頭、東京湾に浮かぶ1隻の無人のプレジャーボート。ゴジラの出現を予言する博士の残した資料から始まる。突然の水柱。東京湾アクアトンネルが崩落、浸水。すぐに災害対策本部が設けられる。たしかに大規模な自然災害、事故が起きると緊急対策本部が政府によって設けられるが・・・・報道の様子、総理官邸の様子があまりにもリアル。
カット割り、BGMがエヴァンゲリオン風で・・・・さすが庵野監督。事故の原因はなんだ?・・・・で、海底火山の噴火で報道しよう。巨大生物の可能性も否定できない・・・・そんなバカなことがあるか?と一喝され・・・・いざ記者会見をしようと思ったら・・・・巨大なシッポが海の中から現れて、巨大生物の存在を認めざるを得なくなって・・・・・このへんの政府関係者の変わりようがすごいですね。本当にこんなんじゃないかと思ってしまう。
大杉漣の総理大臣もいいねぇ・・・・優柔不断で、決断力に乏しく、外野のバラバラ、ちぐはぐな意見に翻弄されて・・・実際、安倍総理もこうなんじゃないかとさえ思ってしまう。方針を決め、総理が指示を出すも
「いま、どこの部署に指示しましたか?」
と、複数の官僚の目が点になってるのが、いかにもリアルで・・・・主人公?長谷川博己が演じる、内閣官房副長官の矢口と、竹野内豊演じる総理大臣補佐官の赤坂のコンビが絶妙。これに加えてアメリカからやってくる、石原さとみ演じる大統領特使のカヨコ・・・・上院議員の娘だったか・・・・将来はアメリカ大統領を目指すって言ってなかったか?この3人の周りでまた大勢の官僚や関係部署の役者がわんさと出ているのだ。とてもぜいたく。
ゴジラ出現により、羽田空港が閉鎖。他の空港に回すとか欠航で空の便がマヒ。被害額も甚大。対応に政府はおおわらわ。
海にいたゴジラは「水棲生物だから上陸はありえない。安心してください」という政府見解の発表の後に、いきなり大田区に上陸。特徴的な背中のトゲトゲは見えたけど、運河を泳いで突き進むゴジラの顔が違う。
なんだこれ?・・・・ギョロ目でヒョロヒョロなゴジラ。これが個体で進化するゴジラの特徴だったのだ。大田区を散々破壊し・・・どうすることもできない日本政府。もはや警察の手でどうなるものでもなく、防衛出動を出すかどうかで総理官邸は揺れる。
大統領特使のカヨコのセリフ「アメリカはすべて大統領が決める。あなたの国はいったい誰が決めるの?」
まさにその通り。総理大臣が決めているのではない・・・・内閣、国会、官僚、都議会・・・・縦割り組織の連携がまったくとれていない。
巨大生物対策法がない。前例がない・・・・・面白すぎです。現実にありそうですから。自衛隊に火器使用を命令できるのは総理大臣だけだ・・・・大杉総理、困ってしまいます。超法規的措置。法律は草案を作成し、後から立法化する。結局、どうすることもできないままに、ゴジラ第2形態だったか・・・・グルグル回って、海に帰ってしまいます。
ゴジラに壊された大田区の現場確認。めちゃくちゃです。ウルトラマンシリーズなんかで、よく怪獣とウルトラマンが戦いますが、本当はそんな広い場所はないんで、ビルやマンション、橋や高速がぶっ壊れるんですよね。人も大勢死にます。住民の避難は間に合わず、どうすることもできないんです。
その後に、重大な問題が発覚。ゴジラが通った後と放射能の異常値が一致。ゴジラを活動させるエネルギーが核分裂らしいと気付く。これは日本にとって衝撃です。福島原発事故以来、放射能という言葉はとてもナーバスになってしまいます。冒頭の博士が残した資料から、ゴジラは過去に海中廃棄された使用済み核燃料を食べて、突然変異した生物ということがわかります。
相模湾に現れる第4形態のゴジラ。身長は大田区の時の2倍になっていて、進化の速度が異常に早くなっています。F2戦闘機による攻撃、丸子橋に並ぶ10式戦車の攻撃・・・・通常弾頭ではゴジラにはまったく歯が立ちません。
「米軍に支援してもらおう」
なんじゃそりゃ?アメリカからステルスB-2爆撃機到着。地中貫通爆弾の投下で、ゴジラの皮膚を貫通することに成功。ダメージを与えることはできたが、背中から発する複数の紫色のレーザーらしきもので飛翔するものはことごとく撃ち落とされ、さらには口から炎、紫色の光線となってあたりかまわず破壊。無敵状態となった。
エヴァンゲリオンの使徒なみの強さ。一瞬、これを倒せるのはネルフとエヴァしかないと思いました。(笑)ゴジラはさらに進化を続け、羽が生えて飛び始めるかもわからない、個体分裂し増殖する可能性も・・・・となり、もはや日本一国の問題でおさまらなくなり、国連安保理で、熱核兵器による駆除が妥当という決議となった。
なんとも皮肉な結論。3度目の核爆弾を東京で使うのか・・・・ゴジラによって総理大臣以下、主要な大臣は死亡。暫定内閣が組閣され、この緊急事態に対応する。対策本部の矢口らが核を使わせないために、別の方法、ゴジラの体内から血液を凝固させ、活動停止させる方法を試みる・・・・
このくらいにしておきますか。実のところ、期待していなかったんですが、予想以上におもしろかったです。庵野監督らしい脚本と演出で、うまくできています。エヴァ劇場版、完結編の完成が遅れたのも許しましょう。
各関係省庁に、今回のような巨大不明生物が現れた時にどう対処するのか・・・というシミュレーションをして取材したそうです。それを元に今回のシナリオも作ったようですからリアルなのだと思います。
それにしても700系新幹線や東海道線、山手線に爆弾積んでゴジラにぶつけるってのは・・・・面白すぎです。
総合評価は83点ってとこかな。メンズデーでなく、通常料金でも後悔しない作品だと思います。
最後に、3年前だったか・・・ハリウッドでリメイクした「GODZILLA」を超えたいってコメントがあったようで・・・・リメイク版の「GODZILLA」は面白くないだろうなと思って見てないんですよね。これを機にチェックするかな。あと、初代のゴジラももう一回チェックしようっと。
この記事へのコメント
お元気でしたか?そうですか。息子さんと見に行きましたか。
函館では半分埋まってましたか。何よりです。
現場が実際の地名なのもよりリアルですよね。そのへんで起こってるようで。いちいち画面に文字が入るカットは、庵野監督の手法です。エヴァンゲリオン的な表現です。
最後、固まったゴジラのシッポ・・・私はゴジラの幼生の死骸かと思ってましたが・・・個体で繁殖するのかと。
ゴジラよりカサブランカさんの出現にビックリしました(@_@)
因みに,僕は見てません。
私もカサブランカさんの登場にびっくりしました。これからも出てきてほしいですね。最近、ブログ読者が減っていくばかりで・・・・フェイスブックに移行するには書けない内容が多すぎるものですから・・・困っちゃいます。
ブログやってた人、どんどんやめていますものね。
でも長い期間ブログをやっていればいろんな時期がありますよ。
去る者は追わずでやって行けばいいんじゃないですか。
確かにフェイスブックには書けないことがありますからね。
僕なんか指で開くでもパンツの見えるのは自粛しています(笑)
最近はフェイスブックですら飽きられて、ツイッターに残ってるんかなぁ・・・私はやってないですけど。インスタもそれほどでもないような・・・情報を発信するって、日本人の性格に合ってないんですかねぇ。私はどんどん発信しますけど。
パンツが見えるのは、いかんですねぇ。見えそうで見えないところにロマンがありますから。(笑)
(* ̄3 ̄)タイトル「ゴジラVSうき、ちっさな戦い」
あ~、ガイガン踏んづけたら痛そう!今回のゴジラは以前のゴジラとはちょっと違って、子供よりも大人が見て面白いゴジラです。機会があれば見てくださいね。怪獣映画というよりも、災害映画かなぁ。面白いと思いますよ。