友達が亡くなりました。

その麻雀格闘倶楽部でこてんぱんにやられて「くそー。なんでやー」と思いながら家に帰ってくると、夜10時にもかかわらず高校の時の友達××くんから電話がかかってきた。

珍しいヤツから電話がかかってきたなぁ、松本に来たから飲もうとでも言う話かと思ったら「○○がバイクで死んだ。」とのこと。

「え?うそー!」

○○くんは高校の時1,2年と同じクラスで仲のよかった友達である。社会人になってからは、お互いに住んでいる場所も離れてしまったために、会う機会が少なかったが、今年のはじめにメールが来ていた。

「今度仕事で長野県の担当になりました。嫁とタンデムで遊びに行きます」

その時はちょうど中国出張だったので、またメールするわというような内容で返信したのだが、結局それっきりになってしまった。今年は会えると思っていたのに、まさかこんなことになろうとは・・・・

昨日は葬式だった。何の因果か私が大学生の時に住んでいた場所のすぐ近く。仕事の関係で彼はこの近くに住んでいたのである。

電話で知らせてくれた××くんも遠路はるばる葬式に来ると言っていた。彼と会うのも10年ぶり。この歳になると再会するのは葬式なのかもしれない。

亡くなった○○くんは、実は先月事故で亡くなっていた。なのになぜ葬式が昨日だったかというと、タンデムしていた奥さんが病院で入院していて葬式ができなかったからなのである。

早朝のあずさに乗りやってきた葬式会場でギプスをした痛々しい奥さんと話している××を見つけた。

「××久しぶり。○○・・・ほんとに死んだんか?まだ信じられん。」

○○くんの在りし日を偲ぶ・・・・という彼とバイクが写った写真や奥さんと撮った思い出の写真がいくつか飾られ、テーブルの上には彼の眼鏡と腕時計・・・腕時計は彼がいなくなった今も時を刻み続けていた・・・それが妙に悲しかった。

「けいつ~さん。久しぶり。太ったねぇ・・・」

奥さんの開口一番はコレだった。いや、あの・・・・俺なんて言っていいか・・・・言葉を失ったが、意外に冷静で普通を装っている奥さんに胸が痛んだ。あとで××から聞いたのだが、彼女もまだ○○の死を受け入れられないというか、実感していないようだ。

気丈な彼女は、しきりに事故の相手の警察への証言が○○が一方的に悪いというもので現実とは違うということを訴えていた。警察もその証言を元に処理されているようだ。以前、テレビでも見たことがあるが、死亡事故の場合、残った加害者の罪を軽くするように亡くなった人が一方的に悪いとしてしまうケースがよくあるらしい。

奥さんは夫が悪者にされてしまうのは許せないと言っていた。もちろん私も××も同意した。○○が奥さんを後ろに乗せてそんなへんな運転をするわけがない。○○の名誉を守るためなら力になることを彼女に約束した。

やがて葬儀は始まり、そして滞りなく行われた。私が知っているのは、奥さんと××と○○の両親の4人。あとの親族、会社関係の人たちは全然知らない人たちばかりだった。

久しぶりに見た彼の両親は・・・・もう辛くて見ていられなかった。親より先に死んじゃいけない。それは最大の親不孝だ。10数年前やはり事故で亡くなった友人の葬式の時に友人のお父さんが言った言葉である。私はその言葉を思い出した。

お経が読まれて、焼香して・・・あっけないほど淡々と葬式はとりおこなわれ、そして終わった。これで終わりか?・・・・・・すでに骨になった彼と彼の遺影が掲げられていたが、ひょっとしたら入口から「おぅ!けいつ~元気か?」と彼が現れるのではないか?・・・・・奥さん同様、私もまだ半分は彼の死を実感できなかった。


○○がバイクで死ぬとは・・・・・・・・帰りのバスの中で涙がこみあげてきた。

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